WHOがゲーム依存症を疾病認定しても、ゲーム産業の拡大は止まらない。だから子供に与える時は…。
表題の通り、WHOがゲーム依存症を疾病認定しても、ゲーム産業の拡大は止まらない。
eスポーツも、どれだけ声高に危険性を叫んでも、業者はどんどん参入し、専門学校等の教育機関までが講座を設け金を儲けていくだろう。
あるオンラインゲームは、最近、サービス開始5年目にして、国内外のユーザーが、1500万人を超えた。そこまでのサービスを生める産業は少ない。危険性を叫びながら、拡大を止めないその様子は、タバコやコーラ等の嗜好品と似ている。
そして、今、ゲームの危険性を叫んでいる世代がいなくなり、世がデジタルネイティブばかりになった時、その流れは、更に加速するだろう。
ゲームばかりしている子供がいると、
「買い与えた大人が悪い」
という声が必ずあがり、論争が始まる。
だが、私はこれは、ちょっと違うと思う。
「買い与えただけで、付き合い方を教えない大人が悪い」
これだと思う。
与える前に、親がプレイして吟味し、ゲームのシステムや付き合い方を教えてから渡すのが必須だと思う。
ゲーム依存症と反抗期が、ダブルで来たら悲惨だ。イコール不登校や引きこもりではないが、そちらに転がるリスクは高い。
では、どうすれば良いのかを、ステージ別に考えてみる。
①ゲームを与える時
子供がまだ小さくて、お友達がみんな持ってるからだのなんだので、初めて与える時に有効なのは、
「お父さんのだけど、貸してあげる」
「好きに使っていいけど、時間が過ぎたら返してね」
という言い回しである。
現代っ子は、実は道徳教育なんかいらないんじゃないかと思うほど、モラルが高い。
「貸して」「いいよ」「ありがとう」「どういたしまして」は、大人が思っている以上に刷り込まれている。
ゲームを手放すタイミングや理由を、ひとつでも増やしておく為に、『借り物』だから『返さなければならない』という意識を付加しておく。
お年玉だのなんだので、いずれ自力でゲーム機をゲットしてしまうが、その時は、同じ事をソフトでやる。
「あのソフト買って」
「あ、お父さんもやりたくて買ってあるんだ。約束を守れるなら貸してあげるよ」
子供はすぐにやりたいので、ここでまた、約束をする。この方法で、ある年齢まではコントロールができる。
②時間の守らせ方
時間や約束を守らせるには、我慢が必要である。
我慢を司るのは、前頭葉。
前頭葉は、脳の中で一番完成が遅い部位で、健常な人でも、完成するのが20歳前後。
それより前、発達途上の前頭葉を持つ子供達に、我慢を教えるのは至難の技で、しかも相手は、より長くプレイさせる事を前提とした『ゲーム』。
だが、我慢のスイッチの入れ方を知れば、コントロールはそう難しくない。
例えば、『ゲームは1日1時間』だとして、1時間ぴったりに声をかけて、やめられる子供は少ない。なぜなら、ゲームには、『ちょうどいいタイミング』、ストーリーの切れ目や、セーブできる場所など、中断しやすい場所があるからだ。
それなのに、戦闘中や冒険中に声をかけると、もう、親なんか敵でしかなくて、ますます言うことをきかなくなる。
だから、終わりの時間が近づいたら、ストーリーの切れ目や、セーブポイントまでの、時間的なマージンを残して声をかける。
「あと15分だよ」
「あと10分だよ」
「あと5分だよ」
「終わりだよ」
ここは、刻んでいい。ただ、刻まれると、率直に言えば『ウザい』ので、アラーム音を変えるとか、音楽なんかにするといい。
あるお母さんは、子供が好きなゲームのBGMを使って、登場するロボットの形態と一緒に段階的に変わる音楽を、アラーム設定していた。
平常時→敵発見時→戦闘時→最終形態といった形で、これはゲームの終了時間だけでなく、毎朝の登校準備にも使えるという。
自分が好きなゲームに親も歩み寄ると、子供は嬉しい。だから、アドバイスを受け入れやすくなる。
ただ嫌っているだけでは、ゲームも子供もコントロールできないのだ。
③学校に行けなくなったら、早めに専門家へ。
それでも学校を休むほどのめりこむ、ゲームを取り上げると癇癪を起こす、またはひどく落ち込むなどの症状が現れたら、もう、早々に専門家を訪ねた方がいい。
なぜなら、この依存症は、進行が早く脱却が難しい。精神科というと、本人も親も抵抗が大きいかもしれないが、だからこそ、
「親に精神科に連れて来られるほど、あなたのハマり方はヤバいですよ」
と伝わりやすい。そして、専門家の言うことの方が聞き入れやすいのは、大人も子供も同様である。
ここは、迷ったり、見栄を張ったり、恥に思うところではない。
一日でも早く。
それが、ゲーム依存症の治療だと思う。