不登校YouTuber『少年革命家ゆたぼん』に登校を促す、辛酸なめ子の考え方。
約束の時間に、約束の場所に行く。
約束の日までに、約束のことをする。
それは、大人になっても一生続く。生きていくため、仕事として。
仕事以外の場でも続く。人間関係を保つために。
そういう習慣づけができて、そういう大人に育てられるのなら、不登校でもいいのかもしれない。
実際、学校だけが学ぶ場ではないし、フリースクールなどで、人間関係も含め学習できる。
この子の両親は、そこまでの環境を、この子に用意できているのだろうか。
不登校YouTuber『少年革命家ゆたぼん』
10歳の“不登校YouTuber”『少年革命家ゆたぼん』が炎上している。
「宿題を強制する学校に嫌気がさした」
「先生に従う同級生がロボットにみえた」
などの発言がメディアで取り上げられることにより、一気に拡散。
義務教育なのに行かないのはアリ? ナシ?
(引用元 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190525-00015211-jprime-ent&p=3)
彼に学校がなぜ必要かを語る、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子の視点がおもしろかった。ゆたぼんに続け!という子供を論破するのに、ちょうど良さそうな感じだ。
利益計算に算数は必要。
「この件を受けて、朝の情報番組で小学生を対象にした街頭アンケートをしていたのを見たのですが、『おバカになるから学校は行ったほうがいい』といった冷静な意見が多くてちょっと驚きました。
個人的にも、基礎学力は必要かなとは思います。
特にYouTubeの世界は1再生回数あたりの広告収益がすぐに変動する世界だと思うので、小学生でYouTuberになりたいような人は、基本的な算数は習っておいたほうがいいですね。
動画1再生で0.05円~0.1円くらいと、数字が細かいと聞きますし、利益計算ができないのはマズいと思います」
10歳相手にも、なかなか辛辣である。YouTuberとして生活するにも、算数=学校は必要ですよ、ということか。
これは、おそらくご両親もできていない。できていないが、現状『だいたいこのくらい』でやれてしまっているから、この手の子供がいなくならない。
歌を歌うなら音楽も必要。
「彼はカバー曲やオリジナルソングを歌っている動画もアップしているのですが、やはり“まだ喉で歌っているな”と感じてしまいました。
音楽の授業も受けてちゃんとした発声法を習ったほうがいいかも」
やらせてる大人がなあ…。
炎上狙いでやらせているなら神経を疑うし、我が子可愛さでやらせているなら、今からデジタルタトゥーを刻んで、就職や結婚どうすんだ、である。
10歳にして、学校は行きたいときに行くスタンスを得てしまった彼ゆたぼんは、学校は、図工や給食のためにだけ行くと、インタビューに答えている。
「すでに自分で科目を選ぶ大学生の感覚です」
辛酸なめ子は、そう評す。わかりやすい。
大学生は小中高を卒業してきたからそれでもいいが、ゆたぼんは、まだ10歳。『学ぶものを選択する』段階にはなく、『学ぶものを選択するために学ぶ』最中のはずだ。
どんな大人になるのだろう。親のようになるのだろうか。
ゆたぼんの親の姿
どのようなご両親かと思ったら、父親は、暴走族から心理カウンセラーに転身したとのこと。
『心理』とつく資格が爆発的に増えている今、どこの団体がその看板を与えたのかはわからないが、彼の著書にあるプロフィールには、
《恐喝、窃盗、傷害、暴走、喧嘩、シンナー、麻薬、覚せい剤…etc》
《中学時代はかなりのやんちゃ坊主。盗んだバイクでグランドを走りまわり、タバコを吸いながら廊下を堂々と歩く》
という、昭和の武勇伝が並ぶ。凄さがわからないが。
「なんというか、お父さんはこの経歴を黒歴史だと全く思っていないという感じですよね。むしろ誇りに思っているというか……」
昔はヤンキーや暴走族、今はゲーマーやYouTuber。
学校に行かずにやる事が変わっているのだろう。ベースは似たようなものな気もする。
小学生YouTuberの戦い
小学校高学年男子のなりたい職業1位は、いまだYouTuber。活動を始めている子も多いが、そこには親の意思や育て方も、透けて見える。
「この騒動のなか、同じく10歳のYouTuber、『U10(ゆうと)』が、ゆたぼんの言い分に反論している動画をアップしているのを見つけました。
その子は割と冷静なタイプで『勉強したほうが社会でめっちゃ楽だよ』とまともなコメントをしていました。
また、“宿題をしていないヤツとは遊びたくない”と友達に言われたというゆたぼんの動画を引用し、『僕もそんなズルい子とは遊びたくない』と返したり、例の“ロボットになりたくない”発言に対しては、ロボットの絵を描いて『ロボットかっこいいよね』と言ったりですとか、返しがウィットに富んでいます」
『ウィットに富んだ、まともな子』というのは、 『ウィットに富んだ、まともな家庭』でないと、育たない。
小学生の身で、ネット上で顔を晒し、YouTuberと名乗らせることについては、ゆたぼん同様、U10の保護者にも疑問を感じるが、ゆたぼんよりは知的な気がする。その分、彼を穏やか且つ強烈にディスってもいるが。
家庭環境を反映する子供達。
「でも、不登校の子たちに向けて“死にたくなるくらいなら学校にいかなくていい”と励ましている彼ですが、学校に行かずネットで何万もの人から叩かれること自体、私なら十分死にたくなってしまうと思います。
コメントも大人が書いたりもしていますし、内容もより辛辣なので心配です。
もともとメンタルが強いほうなのかもしれませんが、学校に行ってネットのことを忘れるのが精神的にもいちばんいいかな、とは思いますね」
昔『nifty疲れ』なんて言葉があったが、動画やSNSにアップをすると、再生回数やコメントが気になって、数字の伸びが気になって、更新ボタンを押し続けてしまうほど、過敏になってしまう人もいる。心配だ。
ゆたぼんが、どのような理由で不登校になったかはわからないが、彼が学校教育を拒否するのなら、保護者が教育を与えなければならない。できているのだろうか。
「当たり前のように学校に行ける日本の環境について感謝したほうがいいかもしれないと老婆心ながら感じました。
未来の可能性は無限大なのでがんばってください」
なんだかんだ言っても、最後には優しい辛酸なめ子。こういう大人が、彼のそばにいてくれるといいのだが。
そして、ゆたぼんが学校に行かない本当の理由に、光が当たればいいのだが……。