米津玄師「みんなが知っていることだけで音楽が作れたら、すごく強いことだと思った」故の、史上最速200万ダウンロード達成。
夢ならばどれほどよかったでしょう
未だにあなたのことを夢にみる
忘れた物を取りに帰るように
古びた思い出の埃を払う…
(米津玄師 「Lemon」より)
米津玄師、史上最速200万ダウンロード達成!
シンガー・ソングライターの米津玄師(27)が、昨年のNHK紅白歌合戦でテレビ初歌唱したシングル「Lemon」が、昨年12月31日付で日本レコード協会の「史上最速200万ダウンロード(DL)達成作品」として認定されたことが17日、分かった。
同曲は、TBS系ドラマ「アンナチュラル」(18年1月期、石原さとみ主演)の主題歌として昨年2月12日に配信スタート。配信開始から323日でのダブルミリオン突破は、歴代最速だったコブクロの「蕾(つぼみ)」(07年4月配信、14年1月達成)の2480日を、2157日(5年9か月)も更新。達成まで10か月という圧倒的な速さで記録を打ち立てた。
同協会では、14年1月から認定基準を変更し、着うたフル、PC配信の2カテゴリーを「シングルトラック」として統合。14年以降の「シングルトラック」の200万DL達成作品は5作目になる。
米津玄師の歌は、とにかく歌詞が美しい。言葉が美しい。
それをあの声に乗せるのだから、支持されないわけがない。
「みんなが知っていることだけで音楽が作れたら、すごく強いことだと思った」
これは2015年、3rdアルバム『Bremen』を発売した時のインタビューなのだが。
『米津さんの考える「普遍的な言葉と音」とは?』という質問に対して、彼は、こう答えている。
「みんなが知っていることだけで音楽が作れたら、それはすごく強いことだと思ったんです。
そのことだけに専念しようとして、結果できたのがこのアルバムだと思います」
それはつまり、誰でも理解ができるもの、誰でも共感できるものを目指した、ということなのだろうか。
「自分だけの文脈とか、自分が良いと思うこととか、自分がそれまで見て聞いてきた情報や知識というものは、必ずしもみんなが共有しているものではないわけですよね。
自分にとって当たり前のことも、他人にしてみれば当たり前なことでもない」
その考え方は、あらゆる事に置き換えられる。
音楽に限らず、障害やジェンダー、あらゆる格差についてもそうだ。
袋小路を抜け出す為に
「かつてのように、自分のことしか興味がないというような状態で音楽を作り続けたら、どんどん“袋小路“にはまり込んでいくような感覚があり、このままなら死ぬしかないと考えるようになってしまいました。
だから全うな人間として生きていくためには、それしか道が残っていなかったんです」
自分にだけフォーカスしていたら、表現の幅をなくす。その、幅のない状態を『袋小路』と呼んでいるのなら、これもまた、音楽に限らずあらゆる悩みが、鬱状態に転じていく仕組みの話をしている。
だとしたら、そこから抜け出す方法は、自分以外にも目を向ける、視野を広げる、ということなのだろうか。
このインタビューから3年近く経っているが、現在の歌詞を見る限り、楽曲のタイプは変わっても、彼の思いは変わらない。
こんなふうに考える彼が、誰にでもわかる言葉と表現とで歌うのだから、支持されるのはやはり当然だし、救われる人も多いだろう。 米津玄師の快進撃は、しばらく続きそうだ。