『タワマン』じゃなくて『億ション』? 所沢のタワーマンションに群がる人達。
億ション、というワードを、久々に聞いた。
バブル臭のする古臭さに驚いたが、億ション住人が高齢化して、億ション自体も老朽化して、どちらもなんだか……なんて話ではないらしい。
なぜ今、億ションが話題なのか。
所沢に建設中
西武線所沢駅(埼玉県所沢市)近くの「所沢駅西口土地区画整理事業」区域内で地上29階建て総戸数311戸の超高層マンション「シティタワー所沢クラッシィ」の建設が進む。
1億円超の部屋もあり、販売元の住友不動産によると「億ションの登場は所沢市内では1994年以来の24年ぶり」という。
モデルルームにはドローン撮影による空中写真が張り巡らされ、2年後の所沢の光景を演出する。
所沢駅は1日約10万2700人(17年度、西武鉄道)が利用する。開発面積約8・5ヘクタールの同区画整理事業のなかで、同マンションはにぎわいの創出が期待されている。
完成は東京五輪パラリンピック後の21年1月の予定だが、昨年12月17日から第一期31戸が売り出された。
今回の最多価格は5千万円台で、最高価格は1億2980万円。10月の消費増税を見越してか問い合わせや見学が相次ぎ、「億ション」は昨年末に「複数戸売れた」(住友不動産)という。
『クラッシィ』はステキっぽいが、『シティタワー』……。
センスが昭和っぽいが、大丈夫だろうか。そして、この時代にその価格で、部屋が埋まるんだろうか……。
購入層はパワーカップル?
高額物件が売れる背景には、多くの場合『パワーカップル』と呼ばれる存在がいる。
パワーカップルとは、夫も妻も高収入の共働き夫婦のこと。不動産業界が注目する、タワマン購入の中心層のことだ。
「働く女性の増加に伴ってパワーカップルは増え、例えば共に年収700万円以上の夫婦は共働き夫婦の約5%」
「所得水準の高い都内では、さらに割合が高いとみられ、そうしたカップルの多くが住宅購入の時期を迎え、タワマン需要を支えている。今後もしばらくは底堅い」
(ニッセイ基礎研究所 久我尚子主任研究員より)
私などは一戸建てにしか住んだことがない田舎の人間なので、5000万だの1億だの払うなら、管理費や組合などで面倒があるマンションよりも、戸建てを建てることを選んでしまう…。
一斉に修繕期を迎えるタワーマンション
分譲型タワーマンションの供給が急に増えだしたのは2000年頃から。その、ブーム初期の頃のタワーマンションがそろそろ大規模修繕の適齢期に入る。
普通のマンションなら足場を組んで外壁の修繕工事をする。だが、足場はせいぜい、14階までしか組めない。それ以上の階の外壁は、どう修繕するのか。
現状では屋上からゴンドラを吊るすやり方と、柱を立てて移動式昇降足場を設ける手法があるが、どちらも作業効率が悪い上に、強風の危険や、1階分の作業を行うのに約1カ月程度を要する。
これは、建設時の2倍の時間。建設より修繕に時間がかかるということは、修繕方法が確立されていない、そもそも『築30年でどうなるか』『築40年でどうなるか』が未知なのがタワーマンション、ということだ。
だったら新築を買って、修繕期が来たら売るか貸すかして、タワーマンションへの住み替えを繰り返して…と考える層がいても不思議はない。
問題は、できるかできないか、くらいだ。