【後編】発達障害の子のママに聞く『学校が保護者に生徒の障害疑いを伝えられない』現実。
福島県内全ての小中高校の通常学級に通う約18万人のうち、障害者差別解消法が定める「合理的配慮」の対象となる、発達障害児らが9299人いることが、県教育庁の調査で分かった。
このうち約7割は、学級での様子から「発達障害の疑いがある」と学校で判断しながら、そのことを保護者や本人に伝えていなかった。
同庁は「わが子に障害があると言われれば反発する保護者もいて、話がこじれる場合がある」とし、保護者への伝え方などをまとめたハンドブックを各校に配布する考えだ。
(引用元 https://www.yomiuri.co.jp/national/20181224-OYT1T50015.html)
『どうやって保護者に受け入れさせるのか』
これが、一番の難関。
引き続き、この読売新聞の記事をベースに、発達障害の子を育てる関東在住の女性にツッコミを入れてもらってみる。
(以下、赤字が女性の言葉)
対応の差は理解度の差
2016年4月施行の障害者差別解消法では、情緒を安定させるための小部屋の確保、タブレットのようなデジタル機材の活用など、それぞれの子供の障害に応じた合理的配慮を義務づけている。
→これは、言うほど実現していません。発達障害や不登校児の専門対応を謳う、元フリースクールの文部科学省認定校(中高一貫)ですら、タブレットの導入は『検討中』でした。
特性に合わせた教材を、個々に配るような、普通校と特別支援校の間くらいの学校ですが、そこですらそうなら、普通の学校ではとても無理かと。
理解ある私立校のほうが、まだ説得の価値と可能性があると思います。
文部科学省は、こうした配慮を適切、柔軟に行うために、「保護者や本人と話し合いの場を持ち、相互が障害について理解したうえで対応」するよう学校に求めている。
→相互の理解とありますが、そもそも、学校の先生方も、専門家ではありません。教員免許の更新研修の際に、発達障害に割いている時間もわずかです。
特別支援専任や、スクールカウンセラーの力を借りて保護者と話すにしても、現場で多く対応するのは担任。担任の理解がないと詰みます。
その状況で、我が子の障害を初めて聞き、ショックを受ける保護者に、医療機関での受診や、特別な支援を受け入れさせるわけですから、すんなりと話が進む家庭の方が、レアだと思います。
だが、同庁の担当者は「自分の子供に障害の可能性があることをどう保護者に理解してもらうかは常に難題だ」と話す。
→そんなわけで、難題中の難題です。障害への偏見が強い保護者ほど、反発が大きくてこじれやすく、子供の障害の程度も大きい気が。あくまでも個人の感想ですが。
障害への理解がある家庭は、わりとすんなり対応を始めるので、子供にとっては『保護者ガチャ』で処遇を左右され、本当に大変そう。
誰がみても発達障害がありそうなのに、なんの対応もされていない子を見ると、胸が痛むのを超えて、怒りを覚えます。
ただ、そもそも発達障害というのは、幼児期にはわかりにくく、役所の集団健診でも、小学校入学前の就学時健診でもひっかからずに、障害に気づかないまま、親子共に通学しているので、保護者が『今まで何も言われなかったのに、今更なんで?』と思うのも、無理ない気がします。
来年度までに、障害ごとに授業で配慮する具体的な方法や、保護者や児童生徒と話し合うポイントをまとめたハンドブックを作成し、周知を図るという。
→ハンドブックを使いこなせる先生は、少ないと思います。保護者用のハンドブックも作って、全家庭に平等に配布するのがよろしいかと。心当たりのある家庭は、読むと思いますよ。
今は、特別支援専任、スクールカウンセラー、養護教諭という、数少ない専門家に見守られて、担任と保護者が『素人同士』で殴り合ったり、お互いの腹を探りあったり、見て見ぬ振りをしあったりしている状態。
全体の理解を底上げしないと、進展はないと思います。
と、いうことで…。
この問題は、一筋縄ではいかない。
注釈を入れてくれた女性は、
「うちは自傷行為があったから、すぐに対応したけど、即対応は相当レアみたい。
ここまで理解するのに3年かかってるけど、それも正しいかはわかんないしね。難しいね」
と語る。