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『子ども議会』の要望で公園整備に9300万をかけた、福岡県川崎町の英断。

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 福岡県川崎町が子ども議会の要望を受けて町制施行80周年記念事業の一環として同町川崎に整備していた「城山(じょうやま)子どもの森公園」が完成し、23日、オープニング式典があった。式典後、さっそく子どもたちの歓声が響いた。

(引用元 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181129-00010000-nishinpc-soci 以下、斜体部分も同様)

 

川崎町の子ども議会

 町は2008年度から年2回、町内4小学校の5、6年生の代表4人ずつが参加する「子ども議会」を開催。町長をはじめ執行部と議論する。

 これまで21回の子ども議会の中で、「遠足に行く場所がない」「遊べる公園がない」などと子どもの目線から見えた町の課題が毎年のように指摘された。

 これを重く受け止めた手嶋秀昭町長が公園整備を決断。町は、17年度の一般会計当初予算案に整備費約4500万円を計上。議会も認めた。

 

 子供達の意見を『重く受け止めた』のは、人として、感情論として好ましいし、政治家としても英断だ。

 子供を育てにくい町から、人は離れていく。十数年後は税収が減り、先細りする未来しか見えない。

 議会に参加した16人の子供達は、全校生徒の代表として、誇りを持って発言したのだろう。その提案が通り、大人が形にし、実現していく過程を見た経験は、議会に参加していない子供達を含め、全員の宝になる。

 そして、そういう地元を愛し、長く住んでくれるようになる。彼らが子供を持つまで、たったの10年しかない。その時、子供を育てる町として選ばれるようにしておくのは、急務だ。

 

絶妙なロケーション選定

 役場職員やボランティアが田川市川崎町清掃センター横の町有地を歩き、公園整備に適した場所を選んだ。

 ヤマザクラが自生する山林で、中世城郭跡「城山城」(勝山城)が発見されるなど豊臣秀吉による九州征伐の際に歴史の舞台にもなった場所。町は遺構を保存しつつ、公園として整備を進めた。

 約2万平方メートルの敷地内に「遊具がたくさんある」「自然と触れ合える」「子どもと大人が一緒に遊べる」など、子ども議会で出た意見を基に、大小のツリーハウスやターザンロープ、丸太渡りなどを設置。ソメイヨシノハナミズキキンモクセイツツジなどを新たに植栽。

 本年度も事業を継続し、最終的な整備費は約9300万円になった。

 

 子供の要望を容れ、親の機嫌を取るために、ただ公園を作るのとは違う。

 遺構の保存をしながら、並行して公園を整備したことで、そこは子供の為だけのものではない、本当の意味での『みんなの公園』になったのではないか。

 遺構を保存しながらの公園整備というとは、時間も手間も金もかかる話で、何かが出土して作業が止まって調査が入ったり、住居跡などの『窪み』を調査した後に、『保存する為に埋める』など、一見矛盾しているように思える、専門的な作業も入る。

 日々の暮らしに直接関わる部分への公的資金の投入が優先される以上、遺構の保存の為だけに予算を組むというのは、余裕のある自治体でないと難しい。

 そこへきて、子ども議会からの、公園整備の要望である。

 ふたつをうまくくっつけて、当初の4500万円から、予算を倍以上まで引き上げた策士は、賞賛に値する。これで、勝山城は守られたのだ。

 

大人と子供の、利害の一致。

 式典で手嶋町長は

「子ども議会で発言してもらったことが実を結んだ。将来は新たな花見の場所になるよう整備を続けたい」

とあいさつ。今年の子ども議会議長で、川崎東小6年の岩口はるさん(12)は

「私たちや妹や弟、子どもたちも楽しく遊べる公園になるよう大事にしたい」

とお礼の言葉を述べた。


 利害の一致と言うと言葉が悪いが、ただ『子供に優しく』だけで、1億円近い税金の投入はできない。

 みんなが使える新たな名所としての、ベストな流れに、子供議会を合流させたセンスは、他の自治体でも見習ってほしいところだが、ここでゴリ押し感、やらせ感が出ると、一気に破綻する。

 子ども議会を10年続け、耳を傾け続けてきたからこその結実だと思うと、この川崎町議会に、腕があったということになるのだろうか。

 

 この町の子供達は、自分が親になった時に、子ども議会が成した事の大きさを感じるだろう。

 自分達の提案からできた公園で、我が子を遊ばせ、育てる為に、この町に住まう事を決める子も出るだろう。

 住んでみたい町だと思わせる話だった。