病院の口コミは、タクシーの運転手さんに聞こう! 情報量が半端ないぞ!
10月上旬に轢き逃げをされ、膝の関節を折った。
快方に向かい、リハビリが始まったが、私が通うのは、このあたりで一番大きい総合病院。
大きめの病院では、厚生労働省の指導により、患者がある程度回復し、リハビリのみで済む程度になったら、地域のリハビリ可能な開業医等に転院するよう言い渡される。
放出されてからバタバタと探した病院が、変なとこだと膝は本当にヤバいので、今から吟味しているのだが──、
ネットの口コミ、なんて信頼できないものよりも、もっと確実な、そして地元情報をパンッパンに持っているネットワークを発見した。
スーツに手袋をした男達が、一日中黒い車で、町中を巡回している組織。
そう、『タクシー会社』である。
地元のタクシー会社
私が住む町には、町の名前を冠したタクシー会社がある。この土地で、もう何十年も営業しているようで、他の会社のタクシーには、あまりお目にかからない。
運転手さん達の勤続年数も長く、20年プレイヤー、なんて人も多い。
子育てや、高齢者の支援のサービスが充実していて、子供を塾に、お年寄りをデイサービスに送り届けたら電話一本くれて、お迎えに行ってピックアップしてくれたあとも電話くれて、本当に助かっている。
そんなわけで私の所にも、
「火曜と木曜の8時半にお迎えで、病院へ」
みたいな言い方で、ほぼ時間通りにお迎えに来てくれて、
「お、ギブス取れた?」
と、親戚のおじさんみたいに声をかけてくれる。
電話交換のお姉さんも覚えてくれて、住所を言うと、
「はい、◯◯様、10分で伺いますね〜。外に出てなくていいですよ〜」
と、気遣ってくれる。
で、だ。
この『地元のタクシー会社』というのが、タクシーを使う層が必要とする情報、即ち『子育て』『医療』『高所得』界隈の情報に、めちゃくちゃ強い事を、最近知ったのだ。
情報の質が高い
もちろん運転手さんのタイプによるが、まず、情報の精度が高い。
一人からの言葉ではなく、複数のお客さんの言葉と動線から、あらゆる判断をしているからだ。
私は今、リハビリで評判のいい病院を知りたいので、乗るとまず聞く。
「そろそろリハビリで、違うとこ行かされそうで。この辺の人、皆さんどこに通ってます?」
そう聞いただけで、出るわ出るわ。
「A整形に一番(お客さんを乗せて)行くけど、だいぶ待つみたいなんだよね。8時半に降ろしたお客さんを、12時に迎えに行ったことあるよ」
「B院は昔っからダメだよ。2〜3回行くと、だいたいみんな病院変える」
「駅前に新しくできたとこ、新しい治療法がいろいろあって、先生若いけど、かなりいいみたいだよ。スポーツで怪我した若い子を、よく乗せるなあ」
「膝ならA整形だけど、そのうち股関節が痛くなってくるから、そしたらC病院だよ。膝が治って何年かして、Cに股関節で通い出す人が多い」
複数の運転手さんから色々聞くと、だいたい2〜3院に絞れてくる。
そして、時々、こんな人もいる。
「同じとこ、俺も折ったよ! リハビリ痛くて声出るけど、それ頑張れば曲がるようになるから!」
「嫁の膝を手術した先生がよかったよ。名前なんだっけなあ。電話するから待って」
ハンズフリーで奥さんに電話をかけて、スピーカーで話を聞かせてくれた人までいた。
やはり病気の話は、初対面でも盛り上がれる、共通の話題なのだ。
ネットの口コミが、全て間違いとは思わない。
だが、2〜3件しかないレビューを鵜呑みにするよりは、日々、色々な『患者さん』を乗せている、タクシーの運転手さん達の方が、信頼できる。そして、癒される。
ドアを開けてくれたり、荷物を降ろしてくれたり。彼らは仕事だし、私は対価を支払っている。
それでも毎日心から、
「ありがとう」
そう言っている。