東大でも42位? THE世界大学ランキングを読み解く。
世界大学ランキングとは
世界大学ランキングは複数あるが、今回発表されたのは、イギリスの高等教育専門週刊誌『タイムズ・ハイアー・エデュケーション』が2004年から毎年秋に公表しているもの。
元々はイギリスの「タイムズ紙」が、付録の冊子で公表していたが、その後タイムズ誌から独立した。
2010年からはトムソン・ロイター社と共同でランキングを作っており、教育力、研究力、研究の影響力(論文の引用数)、国際性、産業界からの収入の5領域、13項目についてデータを収集し、総合力を評価、分析したうえで世界の大学をランキング化している。
2019年版の「世界大学ランキング」
世界全体の1位は英オックスフォード大学。
2位は英ケンブリッジ大学。
3位は米スタンフォード大学。
欧米の大学が上位という構図は、変わらなかった。
アジアの中では、清華大学が22位(前年30位)で、中国が初めて首位。
では日本はというと、東京大学が42位(前年46位)で、それに次ぐ京都大学が65位(前年74位)。
なんともいえない結果である。
アジアの中での位置
東大は2011年~2015年はアジア圏の首位だったが、今回は5位に。
アジア1位の中国・清華大学との間に割って入ったのは、23位のシンガポール国立大学、31位の北京大学(前年27位)、93位の中国科学技術大(前年132位)だ。
では、他の日本の大学は、どこへいってしまったのか。
日本国内での順位
日本から、今年は103校がランクインしている。前年の89校から14校の増加。
この増加数「14」は今回、アメリカに次ぐ2位で、東京大学と京都大学がそろって順位を上げたことと合わせてTHEから賞賛されました。
THE編集長のフィル・ベイティ氏は「日本は長期的な下落の後、主要大学と有望な新規参入大学、両方の堅実な改善によって強固な結果を残した」とコメント。
(引用元 http://japanuniversityrankings.jp/topics/00073/)
上位に食い込めなくても、全体的な質を、平均的に上げるやり方は、良くも悪くも日本らしい。
内役は、国立55・公立10・私立38。
景気が悪いと国立に学生が集まって競争率が上がり、全体の力を底上げするとの見方ができるので、もしそれが正しいのなら、この比率はしばらくは変わらないかもしれない。
私立大学の最上位は401–500位で、前回の501-600位からランクアップした藤田保健衛生大学と初ランクインとなる帝京大学が同順位。
初めてランクインしたのは帝京大学のほか立教大学、青山学院大学、東京農業大学など16校。
日本医科大学、愛知医科大学、兵庫医科大学など医学系も目立つ。医学部人気は、今後も続くかもしれない。
1番はいないが平均点が高い
2018年の国別のランクイン大学数を見ると、ちょっと不思議なことかまわかる。
数だけで言えば、1位がアメリカで157校、2位がイギリスで93校、3位が日本で89校。
今年にランクインしたすべての大学数は1,102校で、これは世界に約23,000校ある高等教育機関のうち、たった5%というから、ランクインするだけでもすごい。
日本のランクイン大学数は、国土の狭さや人口の少なさを感が合わせると、他の国々と比べても、かなり多いと言える。
つまり日本の大学は、『1番は取れない』が、『みんなそこそこできる』というわけだ。
識字率の高さを見ても、そもそもの平均点、1番できない人の点が、他国に比べて高いのではないか。
それでも1番が取れない理由は、教育の質の均一化が、量産型の学生を生産しているから、突出した人材が育ちにくく、海外に流出してしまう、といった感じなのではないかと思う。
「みんなと同じように」
と育てておいて、いざ就職活動が始まると、
「個性を出して」「主張して」
と言われる。
そんな教育をしているうちは、この順位も上がらないと思うわけだが…。