火山の噴火からの逃げ方は? 箱根の警戒レベル引き上げと『行きやすい火山』の危険性
山の高い低いは、間違われやすい。
間違われるとは、物理的な標高よりも、
『どこまで車で行けて』
『車を降りてから山頂まで、どのくらい歩くか』
つまり、山頂までのハードルの高低でイメージされて、標高が高いのに装備が甘くて凍死だとか、標高が低いのに山道を甘くみて遭難とか、そんな感じの事故に繋がっているような気がする。
そういう意味でこの山は、周辺の観光地化も手伝って、低いと判断され、油断からの事故が起きやすい山なのかもしれない。
箱根山 噴火警戒レベル引き上げ
気象庁は19日未明、箱根山(神奈川県箱根町)の噴火警戒レベル(5段階)を、1(活火山であることに留意)から、2(火口周辺規制)に引き上げた。
同庁によると、18日朝から火山性地震が増加。大涌谷周辺の想定火口域では活発な噴気活動が続き、想定火口域内に影響を及ぼす噴火が発生する可能性があるとしている。
これを受け、地元の箱根町は19日朝、想定火口域にある大涌谷園地への立ち入りを禁止したと発表した。
箱根山の噴火警戒レベルの引き上げを受け、箱根ロープウェイは19日朝、早雲山駅―桃源台駅の全線で当面の間、運休すると発表した。同日午前9時から、早雲山―姥子―桃源台で代行バスを運行する。
(引用元 https://www.asahi.com/sp/articles/ASM5M2WBHM5MULOB003.html)
箱根は遊びに行きやすい。
だからこそ、入山規制は、もっと厳しくてもいいかもしれない。
軽装な人が多い火山
私は地獄谷が好きで、上がる煙や湧き出る熱湯、独特の硫黄臭の中で、あの黒いゆで卵を食べに、ちょいちょい行ったりする。
カップルや子連れ、お年寄りなど、年齢層に偏りがないのは、ひとえに『行きやすい』ためだ。
電車、バス、ロープウェイ。
マイカー、バイク、自転車、徒歩。
どれでも行けるから、Tシャツやなど、町歩きの格好で行けてしまうし、実際、行っていた。強いて言えば、
『硫黄で滑るかもしれないから、スニーカー』
程度の意識で、夏にはワンピースにサンダルの女性も、珍しくない。
だが、地獄谷は火山。
活動中の火山だ。
考えてみれば、ものすごく危ない。火砕流なら何を着ていても抗えないが、登山用の服ならやりすごせる程度の降灰で、Tシャツから伸びた無防備な腕が、焼け爛れるかもしれない。
フランクに行けるので失念していたが、火山が爆発した時に、どのように行動すれば良いかを、この機会に見直してみる。
火山が爆発したら?
頭と口を守る
・リュックやタオルで、頭と背中を噴石から守る。
・ハンカチで口を覆い、火山灰やガスの吸い込みを防ぐ。
進路を決める
・上空を見て、噴煙の流れる向きを確認する。
・火山灰を吸い込まないようにして、風上に一時避難する。
・火山灰で光が遮断される前に進路を決め、火口から遠ざかる。
・建物を目指して進む。
・建造物がない場合は、火口を背にし、噴石を防げる岩陰などに身を隠す。
※山小屋や避難シェルターは、避難の最終ゴールではない。
噴石を最低限防御し、噴煙程度は遮断できても、有毒ガスが流れ込んだり、火砕流にのみ込まれたらひとたまりもないので、ヘルメットやマスクや、身を守る物を手に入れたら、状況を見て下山するべき。
下山時は谷や沢を避ける
・体を守りながら迅速に麓を目指す。
・火砕流・高温の火山ガス・火山灰からできた『火砕サージ』は低地に向かって流れる為、谷や沢沿いの移動は危険。
・峠から峰に続く尾根伝いに下山できるコースがあれば、そちらを選択した方が、生還率は高まる。
冬場の危険
・冬場はマグマによって溶かされた雪が流れ出す『融雪泥流』が起こる可能性がある。
・噴火による現象のすべてが生死にかかわるため、麓に着いて安全な場所に移動するまで油断しない。
「観光登山であっても、火山に登る限り、噴火はいつ起こってもおかしくありません。事前に山の情報をしっかり把握してから出かけてください」
(災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さん)
噴火から逃げる術を知り、生還率をわずかでも高める。生還、というと大袈裟なようだが、意外と、そんなことはないのだ。
日本は、火山列島なのだから。