池井戸潤が池井戸作品を語る! 正直勘弁してほしいのは…
池井戸潤が描くストーリーを、大泉洋が演じるときたら、私にとっては、見ない理由がない。
7月、TBS日曜劇場でスタート!
俳優大泉洋(45)が、作家池井戸潤氏(55)原作の連続ドラマに初挑戦する。7月スタートのTBS日曜劇場「ノーサイド(仮)」(後9・00)に主演することが決まった。
「半沢直樹」「下町ロケット」などがヒットした池井戸作品。伝統ある日曜劇場で、新元号の最初の作品となる。原作小説はまだ発表されておらず、池井戸氏が現在執筆中。出世を絶たれた男と落ちぶれラガーマンたちの再起の戦いを描く。
大泉が演じるのは大手製造メーカー中堅サラリーマンの君嶋。幹部候補だったが、上司に異を唱えたことで人生が一変。地方工場への左遷人事を受ける。そこで、同社ラグビー部のゼネラルマネジャーを兼務することに。
かつての強豪も今は成績不振。ラグビーの知識も経験もない男が、チーム再建に挑む。
(引用元 https://www.google.co.jp/amp/s/news.nifty.com/amp/entame/showbizd/12278-194059/)
今回は、原作が未完成なところがいい。誰も結末を知らないというのが魅力的だ。
放送終盤となる9月には、日本初開催のラグビーW杯も開幕。うまく被せてきた。
だが、ここでひとつ疑問が。こんな計算尽くのタイミングの仕事を、企業の不正や中小企業の奮闘を描く池井戸潤が受けるということに、なんともいえない違和感があったのだ。
なんというか……、この、ラグビー業界に媚びるような商業主義が、池井戸作品のイメージに合わないのだ。どうしたんだろう。
池井戸が語る『池井戸作品』
義理、人情、根性、そして勧善懲悪。
それが池井戸作品の軸だと思い、毎回、単純に楽しんでいたのだが。
自分の作品が、そして自分自身が『弱者の味方』のよう持ち上げられることを一番嫌っていたのは、実は池井戸潤その人だった。
2016年、『空飛ぶタイヤ』を放送していた頃のインタビューでは、このように話している。
記者「企業の闇や世の中のサラリーマンの闇を描いてくれて素晴らしい!」みたいに持ち上げられたりするのは...。
池井戸「正直、勘弁してほしいです。「中小企業を応援するコメントをくれ」と言われることがあるけど、僕が書いているのは、あくまで普通のエンターテイメント。
僕が小説を書く目的は、読者に読んでもらうため。そして、売れるためには面白くなきゃいけない」
記者「あくまで職業作家、エンターテインメントとして...」
池井戸「職業作家ですからね。実は、「正義」とかあまり考えたことがないんです。「企業はこうあるべきだ」とも、実はそんなに思っていないし。
もちろん「こういう事件はよくないよね」という道徳観はあるけど、それよりもはるかにエンターテインメントであることを目指しながら書いています。
このお話も「こういう事件が起きないようにしよう」とか「不正が起きないようにしよう」とか、そういうことを言おうとしているわけじゃない。純粋にエンターテインメントとして楽しんでもらいたい。それが最優先で、最大の目的です。
それで「すごく面白いな」と思ってもらえれば、それが一番うれしいかな。
(引用元 https://www.google.co.jp/amp/s/m.huffingtonpost.jp/amp/2018/06/29/jyun-ikeido_a_23470873/)
あれらの物語を作っている人は、実はこういう人だったのだ。
持論を展開して、正義を振りかざすわけではなく、もっと自然な職業人。
ただ、エンターテイメント性を追求したストーリーだとしても、インタビューで語った『「こういう事件はよくないよね」という道徳観』にブレがなく、多くの人が共感できるものだから、これだけの人気を誇っているのだろう。
と、いうわけで、池井戸氏本人の、謙遜に満ちたニヒルでかっこいいインタビューを読んだ上で、私もブレずに、上映中の『七つの会議』を観に行くことにする。
野村萬斎の悪い顔。こっちも絶対かっこいい。