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風俗業界から介護業界へ。やりがい搾取される女性達を、しゃぶりつくす経営者達。

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乱立するNPO

 NPOが乱立している。

 進む高齢化に合わせた『介護』が稼げるのはわかるが、そこに5年ほど前から『発達障害』というパワーワードが加わって、ビジネスとして開花していっている。

 この4月から、審査が厳しくなり、以前よりも立ち上げが難しくなり、潰れる所も出たようだが、それでも、良し悪し玉石混淆の状況は続いている。

 苦しむ当事者達は、選ぶ余地もなく、ただ順番が回って来ただけで、有難いと思ってサービスを受ける。

 介護や療育に従事する人員は、常に不足していて、1〜2年という経験の浅さで指導にあたる、なんてザラだ。

 発達障害の子供達の療育の大手『リタリコ』は、先日交代したばかりの若社長が、療育に当たる支援者の教育用のノウハウとツールを、パッケージにして発売する。

 安く使える講師や支援者を量産したり、立ち上げたはいいが、うまく回っていない放課後デイサービス等のNPOを支援して、一儲けする為だ。

 そんなNPOのひとつ、デイサービスを経営する、元風俗店経営者の男性と話をした。

 

風俗店で働く女性達

 その経営者の男性は、お酒を飲むだけのキャバクラから、所謂本番行為が行われているであろう風俗店まで、多くの店を持つグループに所属する、店長のうちの一人だった。

 彼の店には、他店で問題を起こしたり、年齢が上がってきた為に、客がつかなくなってきた女性が送られてくる。

 ハードなプレイと、安い報酬。

 辞める女性、病む女性が多いが、そうなる前に、手を差し伸べる。

「介護の資格を取らせてあげる」

 学歴はまちまちで、中卒は珍しくもないが、大卒も珍しくない。

 資格、勉強と聞いて尻込みする女性も多いが、資格取得の為の学費を援助する、仕事も紹介する、と聞くと、ほとんどの女性が勉強を始めるという。

 資格が取れたら、グループ会社内の介護系のNPOへ。女性達は、水商売から足を洗えるとあって、喜んで転職するという。

 

夜の世界から介護職へ

 夜を彩る花として、派手に着飾っていた姫達が、年齢が上がって個室や訪問でのサービスへと移り、よりハードで安価なサービスを求められた末に行き着く先。

 それが、介護という、人に誇れる仕事。

 夜の世界から抜け出す為、風俗業が続けられなくなっても稼ぎ続ける為に、必死に学んで介護デビューする彼女達の多くが、一度目の仕事で、介護を天職だと感じる。

 風俗業をしていた女性達は、人の体に触れる事への抵抗が少ないし、汚物にも耐性がある。

 初めて会う、どのような客に対しても、邪険にせずに接してきたから、客が老人に変わり、サービスが性的なものから介護に変わったところで、抵抗は少ないし、むしろ楽に感じるくらいだ。

 老人からの要求も、昔の客からの理不尽な性的要求に比べれば可愛いものだし、多少のセクハラくらいなら、笑って流せる。流しすぎて、どうして怒らないの?と、上司に叱られるくらいだ。

 介護サービスの利用者の半数はおばあさんだから、女性の身体に触れて済むなら、それ以上楽なことはない。

 そして、何より、感謝される。

 お年寄りに、その家族に、職員に。

 ありがとう、優しいね、助かります、頑張るね、また来てね。

 夜の街で人に言えない仕事をして、家族にも子供にも隠しながら、あるいはバレて詰られながら、悪い事なんてしていないのに、いつも後ろめたさを感じながら暮らしていた女性達。

 そんな自分が、感謝され、喜ばれ、求められる。

 それ以上の喜びはないと感じ、介護を天職と感じるようだ。

 

女性を消費する者達

 若いうちは、酒を注がせて稼がせる。

 年齢が上がるごとに、部屋の明かりを落とし、サービス内容をハードにしていく。

 それでも使えなくなったら、資格を取らせて介護職に就かせる。

 安く使われても、不満などない。危険は少なく、あるのはやり甲斐。

 そうして、搾取されている事にも気づかない彼女達の裏で、儲けているのは誰なのか。

 表に出てこない彼らを知る者は、少ない。