新潮社社長のコメントと、杉田議員の『生産性』に、『産む機械』を思い出す。
『新潮45』杉田水脈衆院議員の擁護記事への、新潮社 社長コメント【全文】
杉田水脈衆院議員の性的少数者への差別的な論文を掲載し、最新号で擁護する特集を組んだ月刊誌「新潮45」について、発行元の新潮社は21日、佐藤隆信社長名で「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」「今後とも差別的な表現には十分配慮する所存です」などとしたコメントを発表した。全文は以下の通り。
弊社は出版に携わるものとして、言論の自由、表現の自由、意見の多様性、編集権の独立の重要性などを十分に認識し、尊重してまいりました。
しかし、今回の「新潮45」の特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」のある部分に関しては、それらを鑑みても、あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました。
差別やマイノリティの問題は文学でも大きなテーマです。文芸出版社である新潮社122年の歴史はそれらとともに育まれてきたといっても過言ではありません。
弊社は今後とも、差別的な表現には十分に配慮する所存です。
株式会社 新潮社
(引用元 https://mainichi.jp/articles/20180922/k00/00m/040/016000c)
この、佐藤隆信社長は、ここ数日Twitterで拡散されている、「良心に背く出版は、殺されてもせぬ事」を遺した新潮社創業者・佐藤義亮氏の曾孫にあたる。
杉田議員の発言に端を発し、社内での論争がTwitterを使う事によって明るみに出、曽祖父の言葉まで引っ張り出されるに至ったのは、経営者としても親族としても、痛恨の極みだろう。
ただ、ここへきて気になってくるのは、杉田議員の発言にある『生産性』について言及する声が少ない事である。
『生産性』と『産む機械』
杉田議員が『生産性』という言葉を使ったニュアンスを、今一度振り返ってみる。
「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」
(引用元 「新潮45」2018年8月号への寄稿文
「『LGBT』支援の度が過ぎる」)
杉田議員はここで『子供を作る=生産』と明言している。
この言い方、考え方で思い出すのは、女性を『産む機械』と発言した、柳澤伯夫元厚生労働大臣だ。
2007年1月27日、島根県松江市で開かれた自民党県議の集会で少子化対策について、
「機械って言っちゃ申し訳ないけど」
「機械って言ってごめんなさいね」
との言葉を挟みつつ、
「15-50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」
と女性を機械に例えた発言として報じられた、あの時だ。
柳澤氏は、後に
「人口統計学の話をしていて、イメージを分かりやすくするために子供を産み出す装置という言葉を使った」
と説明し、発言自体は直後に取り消したと述べた。
今回の杉田議員の発言は、これに近い。
柳田氏の『産む機械』発言には、妻と娘も持つ、夫であり父親が、女性を『子供の生産装置』と考え、『子宮の個数』でものを考え、発言した事が衝撃だったが、今度はその女性自体が、子供を産む事を『生産』と考えている。
生産とは『生』を『産』と書き、命を作るという事ですよと、言えないこともないが、まあ受け入れ難い言い訳である。
『杉田水脈』でスペースを空けると、共によく検索されているワードとして、『子供』『家族』『発言』と続く。
みんな気になっているのだ。
性的少数者を非生産的と非難する彼女が『子供を何人生産しているか』が。
あそこまで言えるのなら、最低でも野球チームを作れるくらいは『生産』していることと思うのだが。
この後私も、検索してみようと思う。