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募集が開始された東京オリンピックのボランティアは、やりがい搾取? ブラックボランティア?

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東京オリンピックのボランティアの募集が始まった。

公式サイトはこちら

東京2020大会ボランティア

PR動画はこちら

日本財団ボランティアサポートセンター・コンセプトムービー「#2年後の夏」 - YouTube

 

ここを見て、やりたい!と思う人は多いだろうと思うし、私自身、詳細を知るまではそのように考えていたが、いざ募集内容を見ると、色々と疑問が湧いてくる。

 

オリンピックは都市開催である

前提として、オリンピックは『日本が開催するイベント』ではなく、『東京都が開催するイベント』である。

つまり、都市開催。東京都が主導で行う。

ラソンコースのアスファルトを、熱吸収のもの張り替える案も浮上しているようだが、これは公共事業として行われる。

たった一度のマラソン競技に、税金をどれだけ投入するのか。五輪の組織委員会や、スポンサーを取り仕切る電通の懐が痛まないのは確か。

なぜなら都市開催だから。

 

それを踏まえて、都民の負担を軽減する為に、出資してくれるスポンサーを募集するわけだが、現段階で、既に4000億円以上のスポンサー収入があったと推定されている。

この4000億円を、どう運用するかが明確でないまま、そもそも実際いくら集まっているかも明確でないままの、ボランティアの募集開始である。

ちなみに、同じスポーツのイベント(というか、興行)であるプロ野球のスタッフは有償。

彼らと似たサービスを提供するであろう東京オリンピックのボランティアは、当然のように無償である。

(ボランティアといっても、災害ボランティアが無償であることには、なんの疑問もない。予定されたイベントに向けて用意する『人手』と、突発的な災害に対して必要な『手助け』は、まったく別物である)

 

そもそも『ボランティア』という言葉の意味は…

ボランティアに『無償』という意味はありません。ボランティアは英語で『志願兵』という意味で、自ら志願することを意味しているのです。

実際、有償のボランティアもあります。よく知られたところでは、青年海外協力隊です。一般の給料と比べれば低いですが、外国での生活費は支給されますし、国内でも一定程度のお金が積み立てられます。

日本では、公官庁が『公園整備』や『一人暮らしの人への料理提供』など、さまざまな無償ボランティアを展開してきました。

そのため、知らない間に私たちの中に『ボランティア=タダ』という概念が刷り込まれてしまったのではないでしょうか」

(引用元 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56714 以下、斜体部分も同様)

それでも参加したい人は多いと思うが、オリンピックで稼ぐ人達もいるのだと思うと、また、話は変わってくる。

 

オリンピックは商業イベントである

『ブラックボランティア』を著した本間龍氏は、こう話す。

五輪は商業イベントです。

スポンサーのために利益をどう生み出すか、どう最大化するか、というのが目的です。

これで莫大な利潤を上げているのが組織委員会であり、スポンサーを取り仕切る広告代理店…つまり電通です。

公共の福祉も公益もほとんどありません

オリンピックで利益とは、あまり聞きたくないワードだが、そう考えるのはオリンピックやスポーツを、神聖視してしまっているからだろうか。

この神聖視こそが、ボランティアの『やりがい搾取』に繋がるのか……。

 

守られないボランティア

年々暑くなっている夏。

東京オリンピックの会期は7/24~8/9、パラリンピックが8/25~9/6だが、ボランティア達はこの中で、無償で活動する。

ラソン等、朝の7時に競技開始となるものは、いったい何時から、どうやって準備をするのかわからないが、とにかく無償で準備する。

「歴史的な、世界的なイベントに関われるだけ幸せ」

「報酬を求めるなんて、とんでもない!」

そんな人達の安全は、ほぼ確保されない様子。

 

組織委員会は、組織委の金銭負担で熱中症や怪我などに対応するボランティア保険に入れる、と言っていますが、そういう問題でしょうか。

万が一、重症になってしまった場合、だれが責任を取るのでしょうか。誰もとらないでしょう

 

保険に入れてあげたから、タダで働いてね?というのは、とんだブラック企業である。

 

「ちなみにボランティアですから労働基準法の管轄外となります。労働基準法では一日の労働時間や休憩時間、交通費のルール、最低時給などが細かく定められていますが、ボラインティアはその枠内でないこともお伝えしておきたいですね」

 

法の枠外で酷暑のもと、タダで働く…。

加えて、募集要項に書かれているボランティアの参加条件は、

・1日8時間程度

・連続して5日以上で合計10日以上できる人

・事前の研修にも参加できる人

・宿泊費は自己負担

・交通費一部負担(上限が千円程度)

数万人分のボランティアが、宿泊先を確保できるかも疑問で、早くもホテル不足が囁かれており、宿泊代が高騰している。

安い宿がボランティアで埋まり、海外からの訪日客には、宿がないとか、あっても高額……とかは、本当にやめてほしいが、ありそうな話だ。

ボランティアを体育館で寝泊りさせるという話もある。蟹工船か…?

 

さて、これで何人のボランティアが集まるか……。